2019年3月25日月曜日

The final mission ~Cygns02~ 政府専用機巡礼 最終編

シグナスの捻りを撮るべく向かったのは千歳基地南西の太陽光発電所の外周。13:30頃、到着と同時に、3回目のT/Gを見送ることに。目視では少し遠すぎるかと思いつつ、次のチャンスを待つ。

13:50 少し遠回りしたのか、少し多めの間隔をおいて4回目のT/G。森の向こうからブラストが響き、林冠の上に真っ白な機首が姿を見せる。夢中でシャッターを切り姿が見えなくなるとすかさず画像をチェック。やはり、少し遠かった。そして、誤算だったのが陽炎。気温は3℃程度だったはずだが、日が照っているために、太陽光パネルからの輻射熱が陽炎を生み出し、残念な結果に終わった。

再び車を動かす。15分以内に次のポイントへ向かわなければならない。地図を確認し、滑走路までの距離を詰め、かつ視界が開ける場所を探す。道央道の美沢PAの南方をまたぐ陸橋へ。

14:12 5回目。この場所では南方過ぎてすでに220°へのターンが終わった状態に。なかなか思うような絵が描けない。残るチャンスは確実に少なくなってきている。幸い天候は回復方向にあり、青空の面積は拡大、再度クルマを動かし、次に賭ける。次のポイントがおそらく最後になるはずだと思いながら。

地図で見て気になっていた先ほどの太陽光発電所の先を目指す。航空写真ではダートの細道が確認できた。しかし、除雪は、、、おそらくされていないだろう。T/Gを1回見送り、車を止めてからのラッセルもやむなしとの思いで最終ポイントへ向かった。

ダートに分け入る交差点へ差し掛かると、なんと対向から1台のSUVが。まさに自分が向かおうとする道に分け入っていくところ。進行方向を目で追うと、やはり、除雪はされておらず、真っ白な雪の上を件のSUVがまさに2本の轍を描いて進んでいくところだった。

まさに僥倖。この偶然に感謝して、その轍を踏みしめ、目星をつけたポイントに向かった。千歳ベースの方には有名なのかもしれないが、林の向こうに千歳の管制塔を望める原野の片隅にたどり着いた。SUVを運転してきた千歳ベースの方の話を伺うと、管制塔と離陸を絡めることができるのだという。

14:31 6回目のT/G。管制塔の手前から上がり、また、バンクも浅く、思い描いた格好にはならないが、焦点距離はドンピシャ。あと1度なのか2度なのか。期待に勇躍、胸を躍らせ、次のチャンスを待つ。

14:48 7回目。この直前再度訓練に出ていた80-1111がcygns01bとして着陸。cygns02はバンクが浅いものの、空は完全に青空になる部分も増え、夢に描いた光景を現実に目の当たりにして、外の寒さも気にならない。

2019.3.15 Cygns02 20-1102 T/G訓練 #7 
そして、次の離陸の後は、フルストップとの声がかかる。次のT/Gが最後だ。自分にとっても最後、もしかすると、2号機にとってもローカルミッションは最後かもしれない。条件は整った。ここまで来れば、背景が青空とか、そんなことは望まない。ただただ、陽光を受けた機体の優美なターンを写し止めたい、それだけである。

15:08 8回目。この日最後のT/G。森の向こうに豪快なブラストが聞こえ、春の日を一身に受けた白鳥が、姿を現した。

2019.3.15 Cygns02 20-1102 T/G訓練 #8


青空を背に、最後の着陸に向けて優雅にその白鳥は羽ばたいていった。感無量。
(3/25現在、専用機任務はあと6日。平日は残すところ4日間。今のところ、3/15が2号機のミッションの最後となっている。(1号機は3/18))

余韻に浸りながら、格納庫エリアへ車を向けた。
そこには訓練を終えて帰ってきた新旧2機の姿があった。

2019.3.15 20-1102/80-1111
後輩とともに翼を休める姿をおさめたかったが、全身をおさめることは駐機位置の関係からかなわなかったが、尾翼の形状の違いから新旧の並びであることが伺える1枚になった。

この後、3月末で役目を終える、もう一つの題材を撮影するためにしばし千歳を後に。
そして日が暮れて、車を返却し、南千歳へ。

朝は20-1101が駐機されていたその近傍へ、入れ替わるように20-1102が。個人的にはもう少し1号機を取りたがったが、年が明けてから、JALの格納庫で遭遇したり、最後の外遊で往路の主務機として国旗を掲げる姿を撮らせてもらったりと何かと縁のある2号機と再び対面できることを喜びながら、明かりのない夜の外周を進む。

そこには月に照らされ、静かに佇む姿があった。























これが千歳での最後のショットとなった。
撮影を終え、搭乗便に乗るべくターミナルへ向かう。南千歳駅への道中、何度も振り返らずにはいられなかった。数々の喜び・感動を与えてくれたことに一個人として感謝。

帰路に選んだJL528便は定刻通り、CTSを後にした。使用機材はJA614J。CF6エンジンの響きとともに東京へ無事、HNDへ戻ってきた。ここで旅は終わるはずだった。


番外編

JL528は本当なら、進行方向右側の席を取り、東京の夜景を楽しもうと考えていた。しかし、金曜夜の羽田行は搭乗率が非常に高く、辛くも確保できたのは左側A席だった。しかし、A席だったことと、羽田が南風運用だったことが幸いして、着陸後、機体を洗浄する80-1112の姿を目撃することになったのである。駐車場から車を出し、整備地区へ。そこには真新しい機体をANAのスタッフ達に磨かれるB-777 2号機の姿があった。

1機が羽田、3機が千歳にあったにもかかわらず、結果として1日で4機すべての姿を写し止めることができた遠征となった。週明けから一切4動きがなく、天候も厳しい予報が出ていた中、結果として想定以上の収穫を得ることができたのは、フォロワーの皆さん、現地でお世話になった千歳ベースの方のおかげである。感謝してもしきれない。

交代式の報道によれば、20-1101・1102ともに応札があり、買い手がついた模様である。4月下旬から5月にかけて、再び羽田で対面できる機会があるだろう。それが本当に最後の機会になりそうだ。

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